呼吸によって肺に運ばれた酸素は、肺の中に無数に存在する、ブドウの房のような形をした肺胞に届けられます。
その後、この肺胞の表面を細い網のように覆っている毛細血管から血液に入り血液中の成分「ヘモグロビン」と結合し、心臓のポンプ作用によって体全体へ送り出され、全身の細胞に届けられます。
そして届いた酸素を利用して、生きるために必要なエネルギーを作り出しているのが、各細胞内に存在するミトコンドリア(細胞小器官)です。

細胞内で作り出されるエネルギーはどう作られていくのでしょうか。エネルギーは「ATP(アデノシン三リン酸の略)」と呼ばれます。ATPはすべての生物が共通して持っている物質で、エネルギーとして貯蔵されるだけでなく、熱エネルギーや運動エネルギーなど生物の生命活動において様々な形で利用することができるため、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれています。
そして細胞ではこのATPを生み出すため、基本的に3つの段階があり、それぞれ「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」という名前がついています。
エネルギーを生み出す燃料となるグルコース1分子に対して、解糖系、クエン酸回路で生み出されるATPはそれぞれ2ATP。しかし、最終段階の“酸素を利用したエネルギー産生”を行う電子伝達系では、34ATPものエネルギーが生み出されます。
つまり、私たちが生きるために必要なエネルギーを得るために、酸素はなくてはならない存在なのです。

解糖系とは、細胞質という細胞の外側の部分で行われるエネルギー産生のことで、酸素を使わずに行われます。ここでは、食べ物から取り込まれた糖が、エネルギーの元である「ビルビン酸」という物質に分解され、この過程の中でエネルギーが作られますが、この段階だけでは作られるATPは少ないため、次からの反応が重要になります。
クエン酸回路は、ミトコンドリア内のマトリックスで行われるエネルギー産生です。
解糖系で作られたビルビン酸は、細胞内のミトコンドリアの中に運ばれ、酸素がある条件下でアセチルCoAという化合物に変換された後、「クエン酸」を生み出します。クエン酸はその後、回り続ける回路の中で、いくつもの化学反応を通じて少量のATPとNADH、HADH2という電子を持った水素が作られます。
最後の反応は、電子伝達系でのエネルギー産生です。
ここに至るまでに生成されたNADH、FADH2をもとに、ミトコンドリア内膜にある「電子伝達鎖」と呼ばれるタンパク質からなる複合体での電子の受け渡しを行う中で酸素を利用し、生きるために必要な多量のATPを産生します。
